『石原さとみのすっぴん旅inスペイン』で明かされた、石原さとみの仕事観がとにかくすごかった!

2019年のお正月に放送された『石原さとみのすっぴん旅inスペイン』という番組がある。私はたまたまこれを録画していて、暇な時間になんとなくゴロゴロしながら見ていたのですが、途中で思いがけない話になって、思わずテレビの前に座り直しました。

というのも、石原さとみさんの仕事に向かう真剣な姿勢が本人の口で語られていたから。

番組自体、彼女のとにかくさっぱりサバサバしていて、かつとても人懐っこくて、見始めて数分で目が離せなくなるほど惹きつけられる魅力が満載。

まあ女優さんなので、それも含めて演技では?という見方もありますが、いや演技だったらもうちょっとしっとり感を出すんじゃないか?(笑)というくらいさっぱりしている。 なんなら若干雑さも感じるくらいの普段ぽい喋りと、端々に垣間見えるユーモアのセンス、サービス精神。明るくてラフで、それまで彼女に対して全然興味がなかったのに、一気にファンになりました。

彼女が予約してスケジュールした旅に若手女性スタッフが密着、という流れで進む番組。どこまで仕込み?(やらせ?)とも思うけど、そんなこともどうでもよくなるくらいのノリの良さとくるくる変わる表情。意外と橋本環奈みたいなハスキーな声と、ハッピーオーラ全開です。

ちょっと前の番組ですが、実は今Amazon Prime Videoで公開中(2021年5月現在)なので、ぜひ見て欲しい!

とはいえ、ここでお話ししたいのは、石原さとみがかわいいっていうことでは当然ありません。
ここからが本題です。

目次

仕事に対する軸が明確、必見の『石原さとみ語録』

番組は、タイトルの通り、石原さとみさんがスペインを旅している。 女性スタッフと会話をしながらショッピングしたり、レジャーをしたり、食事をしたりと旅を満喫していきます。

その旅の道中、レストランでのディナーのあと、スタッフから「10年後どうなっていたいとかありますか?」と聞かれた彼女は「10年後、42か。42?すごいね!」と笑ったあと、真剣な顔で語り始めます。

(少し考えて)
石原「仕事はしていたいかな」
スタッフ「それは女優の仕事ですか?」
石原「今とは違ってていいと思ってる」

 

石原「私いつも思うんだけど、『目的・目標・経験過程』って三つに分けるの…」

と言いながら、目の前で両手で大きく三角を描く。 そして早口で話し始める彼女。

その振る舞いがもう、「この人普通に大企業に勤務してたとしても、相当な成果をあげられるだろうな」というくらい明快。多分、電通とか入っても企画とか営業とかで結果出すな、このままプレゼン通せる…と思いました。

ここのシーン、個人的にすごく感銘を受けたので、以下、彼女の言葉を備忘録的にほぼ完璧に書き起こしてみました。

 

——〈書き起こしここから〉——

 
私いつも思うんだけど、『目的・目標・経験過程』って三つに分けるの…
(と言いながら、目の前で両手で大きく三角形を描く)

ここ(ピラミッドの三等分した1番上)『目的』
一生かけて成し遂げたいこと

ここ(ピラミッドの2段目)『目標』
そのためにはどうしたらいいか

で、それ(2段目『目標』)をやるために
『どうしたらいいか』(3段目)

ていうのを三つに分けて物事考えてて、

ここ(1段目)は…(2秒ほど間が空いて)『励まし』

人を励ませる人間になりたい。それは近くの人も、遠くの人も。

そのために影響力のある女優業という仕事(2段目『目標』)についたら
この目的(1段目)を成し遂げられるかもしれない。

だからこの仕事はスゴく素晴らしいんだと思う。

そのためには活躍していなきゃいけない。名前を広めなきゃいけない。
(それが3番目『どうしたらいいか』

影響力があって人を多く励ませる人間に、女優以外でなれるのであれば、
お芝居が本当に必要かどうかもわからないし、
女優業をやってきたからこそできるものというのが
派生としてあるだろうから、

女優業には)固執していないかも。
しがみつく感じは…

 

——〈書き起こしここまで〉—— 

 

こんな風に、明確に自分が働くことや生きることについて、ほぼ初対面のひと(現場ではスタッフ、番組では視聴者)に対して、照れたり誤魔化したりもせず、目的や目標を順を追ってわかりやすく伝えられるなんて、とても聡明な人だなと思った。

きっと自分の中で何度も反芻して、この考え方が自分の軸として確立しているからこそ、こんなにすらすらと話せるんだろうなと感じ、とても感動しました。

自分には、そんな大義名分があるだろうか…。と考えてしまいます。

自分の意見を発言する自由がない時代を経て

浮き沈みの激しい芸能界で生きていくには、多かれ少なかれそういう『明確な軸』を多くの人が仮に持っていたとしても、ここまで名言してしまうのは、タレントイメージから許されないことが多いと想像できる。

ここ数年、芸能人の事務所離れみたいなことが話題になっている。まあ、我々一般人の耳に届くのは週刊誌の噂レベルで、本当のところはわかりませんが。

タレントというのは、事務所にしたら無名時代から手間をかけコストをかけ、いろいろなことを学ばせて、コツコツと育ててきた“商品”であることには違いない。 それは、ものづくりや商品開発、販売などをしている多くの働く人なら、一定の理解ができるかと思います。

ユーザーやクライアントに安定して選ばれるためには、求められるイメージを守り、そのためには規制やコントロールは必要になってくるのもやむを得ない。とはいえ、商品とはいえ相手が『人』になってくるわけなので、その難しさは計り知れません。

夢叶うも、理想と現実のギャップに心折れた、石原さとみ

また番組では、別のシーンで移動中の車の中で、芸能界に入ったきっかけを「元々はラジオのパーソナリティになりたかった。ラジオっ子だったから。」と話していました。

「でも、藤原紀香さんがラジオパーソナリティを演じているドラマを見て、女優になればなんでもできるんだと思って、最初は勘違いだったけど、女優を目指した」のだそう。

石原「夢叶って10代の頃ラジオ番組を持つことができたよ。でも想像と違った
スタッフ「どう違ったんですか?」
石原「清純派で売ってたからさ(笑)
スタッフ「これ使えないですよね(笑)」
石原「(笑)全然使えるよ

当時彼女が担当したラジオ番組は、素で話すことはおろか、がっちり決めたとおりにかしこまった状態で進行するような内容だったそう。それについて、「ラジオが別に好きじゃなかったらこなせたんだろうけど、理想が強すぎて…」と遠くを見ながらぽつりと話す石原さとみ。

長らく「清純派で売っていた」から本当の自分のキャラクターを出すことを許されずに葛藤した日々があった。だからこそ、キャリアと実績を積んで、ようやく発言力を得た今は、本当の自分で勝負したいのだ、という覚悟すら垣間見えた気がした。

挫折を超えて、理想の姿を追い求め続けたから今がある

オーディションを勝ち抜き、一握りの人しか掴めない芸能界デビューを果たした。それだけで十分に成功かと思えるけれど、10代の頃から理想と現実のギャップを体験。特に、一番やりたかったラジオパーソナリティになれたのに、大人の事情で理想とかけ離れた形でやらねばならない。その悔しさ、挫折感が、今の彼女を作っているんじゃないかな、と見ていて感じた。

レストランで独自の仕事観を語っていたように、『活躍し続けなければならない』と当たり前に言って退けたけれど、それってものすごいことだ。

芸能の世界で表に立つ人たちは、スポットライトを浴びて華々しいイメージしか見せないけれど、裏側では我々一般人の何倍もの苦労や努力をしているわけで。アスリートも同じですね。夢を叶えるって、並大抵のことではない。

役者という仕事は、セリフありき。役ではない素顔の自分を出す必要はない、という考え方の役者さんもたくさんいます。今はSNSなどで発信をする芸能人も増えましたが(あのジャニーズですら)、プライベートや自分の言葉で発言するということ自体を制限されたり、出すことによるさまざまな危険もある。

特にSNS発信する芸能人は、出せる範囲のオフショット、もしくはオフショット”風”であるのに対して、テレビでここまで自分の考え、特に仕事に関する考え方をオープンにするのは、なかなか勇気がいるのでは。一昔前は、女性タレントはバカっぽい方がいいみたいな論調もありましたしね。

なかなか彼女の芯の強さを知ることができて、いい番組でした。

番組制作にホリプロ(所属事務所)ががっつり入っているので、少なくとも事務所の意向も組み込まれてるな、とは想像できるものの、彼女の結構確信を突くような発言もそのまま放送している(つまり事務所がOKしている)というのも、きっと彼女がこれまで、時に不本意な思いもしながら積み上げて掴んだ結果なのだな、と思うと、今後石原さとみへ対する眼差しは、もはや尊敬しかない。

仕事に対する姿勢、学べる人は意外なところにもいる

普段仕事をする上で、参考にするのは職場の直属の先輩や上司、ということが多いかと思います。 もちろん具体的な仕事の進め方や業種により専門的なことは現場で学ぶのが一番でしょう。

では、いざ仕事に“向き合う姿勢”などという大きな話・抽象的な話になってくると、なかなか身近すぎると聞きづらい場合もありますよね。聞いてみて全然尊敬できなかった…なんてことになっても困りますし。笑。

そこでつい目を向けがちなのが、ビジネス系の本などを書いてる人。今ならyoutuberなんかもそういう人が増えているかもしれません。しかし参考になるのは、そういう“いかにも”な人たちばかりではないんですね。

一見華やかなだけだと揶揄されがちなタレントさんや俳優さんも、きちんと軸持ってやってるんだよなと、そうでなければ、厳しい世界で結果も出せないし、当然トップに立つこともできないのだろうなあと感じました。

特に個人の好感度にCMオファーがついて、契約料が何千万と支払われる、石原さとみさんレベルのタレントさんは、事務所の看板でもあり、そのフィーでたくさんのスタッフを養っていて。彼らの責任感やプレッシャーは並大抵ではないだろうなと想像できる。

事業の苦労を本や講演会で語って、それ自体をビジネスにしている経営者よりも、苦しむ裏側は一切見せずに笑顔を振りまく彼らの方が、よっぽど大変な道を歩んでいそうで、学ぶことがあるかもしれません。まあ、裏側は表に出ないので、想像するしかないのですが。笑

コロナ禍で味わえなかった旅気分を存分に

私の視点が石原さとみさんの仕事への向き合い方について特別注目したものでしたが、そんな話はほんの少しだけで、番組全編はスペインを旅行するという構成ですから、基本的には旅気分をおおいに満喫できる映像です。
スペインやフランスの絶景も、レストランも、賑わうバルの雰囲気なども、素敵だなー!と思うのと同時に人が密集している様子には「コロナ前だなあ」とついしみじみ感じてしまいます。

石原さとみさんの眩しいキュートな姿やキリッとした仕事観だけでなく、この1〜2年すっかり叶わなくなってしまった旅行気分を味わってみてはいかがでしょうか。

※記事内の参考写真は、番組内で紹介した場所とは異なります。

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