分かりやすい言葉選びで、相談者のハードルを下げていく。
物腰のやわらかい人だと思った。堅苦しい専門用語は少なく、なるべくかみくだいて説明してくれる。そんな司法書士事務所『ゆずり葉』の所長である仁科さんの後ろには大量の専門書が並ぶ。
「大事務所並みに本があるんですよ。何かあった時にはすぐに対応したいので。更新は結構高額なんですけどね。」と苦笑いしながら言った。
個人の遺産相続・遺言や企業の事業承継を専門とする司法書士。自分にはあまり関係のない話と思ってしまうかもしれないが、実は誰にでも相続や遺言というのは関わりのあるものだ。
”死”に対して忌み嫌うところが日本人の国民性としてあるため、まだ元気な親に「親亡き後」の話を切り出せない相談者は多い。だが、(認知症などにより)話すことができなくなってしまってからでは取れる手段がなくなってしまうこともままあるとのこと。亡くなった後に家族がもめてしまうよりも、話ができるときに早めに相談に来てもらった方が誰にとっても幸せな結果になりそうだ。


家が代々続くように。縁起物からとった名前。
平成24年に独立をする前は、10年間大阪に住み大手司法書士事務所で勤めていた。都会での生活を一転し、地元ではない島田市へやってきたのも何かの縁なのだろう。
人助けをしたいとなんでも相談を受けてしまい、しんどくなることもあった。困っている人をほっておけないという感じが人柄からよくわかる。
ゆずり葉という名の意味を教えてもらった。
縁起物として知られる「ユズリハ」は、若芽が出ると前年の古い葉は落ちていく。親が子を育てて、代々家が続くようにと縁起物として飾られる植物である。
ユズリハの意味は次の世代へゆずるという意味かもしれないが、我先にというよりも他人を立てていく「ゆずる」精神が仁科さんの根底にあるのではないかと感じた。
その上で、勉強し知識を身につけ経験を積んできたのだろう。相手の立場を考えながら、分かりやすい言葉選びで相談に応じてくれる。

大事な会社を、上手に事業承継できる方法を考えていく。
事業承継もまた、会社経営者にとっては難しい課題の一つだ。今では子や家族ではなく第三者に承継することも増えてきた。
「ゆずると言っても、会社を売ります、買います。ということではないんです。」
承継者へ経営者としての心構えや理念を引き継ぐには5年はかかるそうだ。一番難しいのが、社員や第三者へと事業承継するパターン。時間をかけて事業承継をしやすい形へと会社を変えていく。
経営者が営業や戦略など日常業務をこなしながら、同時に事業承継をしていくには、こういったことを一緒に考えてくれたり、節税対策も含めて会社の未来を考えた提案をしてくれるパートナーが必要なのかもしれない。
会社の承継と言っても、お金のこと、法律的なこと、相談事はそれぞれの専門家へ聞いた方がいいのか?と悩んでしまうが、
「信頼できる税理士さん、弁護士さんと連携しながら手続きをしていきますので、どんなことでもまずは相談してもらって構わないですよ。」なんとも頼もしい言葉である。


リーダーとして3年目。次世代の子供たちへ伝えていくこと。
商工会青年部で毎年開催されているジュニアエコノミーカレッジ(通称ジュニエコ)という子供達の商売体験プログラムがある。島田のリーダーとして3年目になる仁科さんは、新しい形のジュニエコを模索しているという。
馴染みのない相続・遺言や事業承継を分かりやすく伝え、家や会社を大切に引き継ぐ手伝いをする専門家は、今度は次世代の子供達に何を伝えて(ゆずって)いくのだろうか。商売体験をする子供達から学べることもきっとあるだろう。このしまだ仕事手帖とのコラボという新たな企画も生まれそうな予感がして、とても楽しみだ。
相続・遺言作成・事業承継
司法書士事務所 ゆずり葉
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