従業員を第一にした会社づくりをする、町のティーバッグ加工屋さん

委託されたお茶などをティーバッグ加工しています。

ー オリジナルの商品をつくりたいんです。

有限会社キムラ加工には、そういった相談が多いという。毎日のように来るのは、緑茶や紅茶、ハーブティ、漢方薬などティーバッグ加工した商品を販売したいという顧客からの問い合わせだ。

「お客さんのつくりたいものを、長年つちかったネットワークを使って手配します。」と話すのは、専務の木村さん。デザインやイメージを持ち込めば、作りたいオリジナル商品の相談ができる。委託加工をベースに、顧客の商品開発を手伝う仕事はやりがいもありとても面白いそうだ。

元々は駄菓子や化粧品の販売という商店をしていたが、約30年ほど前、木村さんの父である代表がティーバッグ加工を始めた。現在では様々な需要があり、最近は緑茶のティーバッグ加工よりも、ハーブティ、ごぼう茶などの健康茶の加工依頼が増えているという。

併設した工場では、ティーバッグ以外にも粉末加工、袋詰めなども行なっている。

ティーバッグ加工
オリジナル七味

自社商品の開発と地域への思い

顧客のオリジナル商品を作るだけでなく、自社商品の開発もしている。

「この七味は、島田商業高校の授業で高校生と一緒に開発しました。」

『七王(しちおう)』は、島田市生まれの市公認のブランド、平成30年度「島田の逸品」として認定された。委託加工以外にもこういった地域住民と一緒に商品開発を行うのは、”町の加工屋”として地域貢献をしていきたいという思いからなのだそう。

本社工場は、富士山を遠くに望む牧之原大茶園に囲まれていて、見渡す限り茶畑という場所である。地域の農家さんの力になりたいと、たとえ小ロットでも加工を受けているという。

「この畑を維持していくのも、ここに会社を構える私たちの使命なんだと思うんです。」

周りの茶畑を管理する人が減り、年々遊休農地が増えていることを気にかけている木村さんからは、地域を大事にしたいという強い気持ちを感じた。

ティーバッグ加工
キムラ加工

従業員を第一にした会社づくりを目指して

工場内でパートさんが作業をするテトラ型(三角錐型)のティーバッグ。抽出性が良く美味しく飲める形だ。フィルターの種類も豊富で、これは超音波でカットしているという。機械化はされているが、ティーバッグ加工の作業には従業員の手が欠かせない。取材中も仕事を終えて工場を出る多くの女性に出会った。

「お客さん第一ではなく、目指すのは従業員第一の会社づくりです。」

そう木村さんが考えるようになったのは、「日本でいちばん大切にしたい会社」著者の坂本氏が教えるビジネススクール『嶋田塾』を受けた頃。

意見が通りやすい、一人一人が物事を考えられるような、やりがいのある会社になること。居心地が良いなど、従業員の満足度を上げることを目標にしている。

ティーバッグ加工
キムラ加工

仕事のやり方を変え、シフトチェンジしていく。

そんな会社を目指して、従来からの仕事のやり方を変えていっているという。例えば、木村さん自身は普段できるだけ社外に出るようにしている。それは管理職である木村さんがいなくても仕事がまわる形にしたいという意図からだ。

そして自分にしかできない仕事を持ってくるという使命を自分に課している。前述した委託加工をベースとした顧客の新商品開発もその一つなのである。

顧客の要望に応えながらも、地域の変化とともに”町の加工屋さん”としての会社の役割を考え、さらに一緒に働く従業員のやりがいや居心地を整えるために仕事のやり方を変えていく。どれ一つとっても簡単なことではないだろう。

しかし変化する現代において、木村さんのように「考えながらシフトチェンジしよう」という姿勢はきっとどんな会社や仕事にとっても必要なことではないだろうか。今回の取材でそんなヒントをもらった気がした。

”町の加工屋さん”はどのようにチェンジしていくだろうか。これからが楽しみである。

各種ティーバッグ加工・オリジナル商品の開発

有限会社キムラ加工

本社・本社工場 〒427-0108 静岡県島田市牧之原302-2
電話 0547-30-0850
FAX   0547-30-0851
http://www.teabag.jp/