一言茶店

金谷茶は美味しい食事にとてもよく合う。

「美味しいものが好きなんですよ。」

そう言ってにこやかに入れてくれた茶は、島田市旧金谷地区で栽培された”純粋な”金谷茶だ。飲み慣れた地元のお茶は、私たちの気持ちをホッとさせてくれる。

製茶と卸業を営む一言さんに、金谷茶の特徴を教えてもらった。

「牧之原台地からの一連の流れで、根が深く張りやすいので良い茶の木が出来やすい土地。大井川の水が豊富にあり、日当たりも良い。日照時間が長いので葉っぱが厚くて深蒸しに向いているんです。」

緑色が濃くて味もしっかりあるのが金谷茶。浅蒸しの川根茶や、やや弱めの深蒸しの藤枝茶・掛川茶とも違う地域ごとの特徴があるのだそう。

しっかり味の深蒸しの金谷茶は、同じくしっかりした味つけの食事に負けないため、都市部でも人気があるとのこと。これは祖父の代から都市部への卸販売をしていたという一言茶店だからできる提案かもしれない。都市部で金谷茶が飲まれているのはとても意外だったが、日頃から食に興味を持ち、美味しいものが好きな一言さんだからこそ、そう言い切れるのではないかと思った。

金谷の深蒸し茶
契約農家の茶畑

農家さんと一緒につくる、純粋な金谷茶がここにはある。

一言さんがこの新茶の季節に足繁く通うのは、金谷にあるいくつかの茶畑。もちろんこの時期だけではなく一年を通して畑を見に行く。その茶畑は契約農家さんがつくる畑だ。一言茶店は農家さんから一部の茶葉を購入するのではなく、契約農家さんの茶葉を全て買い取る仕組みをとっている。

「全て買うのは、島田ではうちだけだと思います。」

せっかく作ったけれど茶が売れないという農家さんが増えてきたのは、地元でも聞く話である。一言さんのように大切に育てた茶を全て買ってくれるというのは、作り手にとって何より嬉しいことではないだろうか。

仕入れを個人の契約農家だけに決めているのは、一言さんとしても純粋な金谷茶を提供できるということでメリットも大きいのだろう。全ての畑を把握し、今年の茶葉はどうかということを常に生産農家と話しているという。畑を見ることから一緒にしているというとても珍しい茶商だ。そろそろ一番茶が近い時期だった撮影時に、きれいな黄緑色の若葉を慣れた手つきでチェックする一言さんの姿は農家さんのそれと変わらなかった。

新茶の準備
製茶の道具

人の手が入り完成する、小規模の茶商ならではの製茶。

荒茶を通す網の目はいくつもある。どれを使うのかどんな組み合わせにするのか、調整をすることで茶葉の出来も変わる。

新茶に備えて、茶箱に一つ一つ紙を貼り修理するスタッフさんたちがいた。火入れや撹拌、包装などに機械設備が活躍しているが、一言茶店の製茶はそこに人の手が入って完成していることがよく分かる。

どこでどうやって作られているのか、何を使っているのか見えない製造よりも、小さい規模だからこそできる契約農家の茶葉と丁寧な仕事でつくる金谷茶。茶畑の住所もわかる見える生産は安心して購入できる。そこに地域を超えて愛されている理由があるのではないだろうか。

金谷茶の茶畑
一言茶店

料理や菓子づくり。美味しいものが好きな茶商が提案するもの。

美味しいものが好きな一言さんは、料理や菓子作りをよくするのだと言う。楽しそうに構想中の菓子の種類を教えてくれた。いつになるかわからないけれど、今後は、お茶に合う菓子などの提案をしたいのだそう。甘さがある菓子も、深蒸しの金谷茶にとても合いそうだ。

さて、どんな菓子が出来上がるのだろう?美味しいものが好きな茶商が、契約農家さんとともに純粋な金谷茶を守りながらしてくれる新しい提案は、きっと美味しいものに違いない。

製茶・卸

一言茶店

〒428-0011 静岡県島田市番生寺720−8
電話 0547-46-0002