TUGBOATから学ぶ地方の新しい可能性

広告業界の巨大船、電通から独立した4人組の広告制作会社『TUGBOAT』

TUGBOAT(タグボート)という存在をご存知の方はどのくらいいるでしょうか?タグボートとは港や海上などで取り回しが大変な大きな船を正しい方向にけん引していくための船です。
ここで紹介するTUGBOAT(タグボート)は電通から1999年に独立した会社のお話です。小さな船が大きな船を正しい方向に向かわせていくという4人組のクリエイターのストーリーをちょっと紹介したいと思います。

岡康道、川口清勝、多田琢、麻生哲郎の4人のクリエイターが広告業界の改革に挑戦する

TUGBOATは岡康道、川口清勝、多田琢、麻生哲郎の4人のクリエイターからなる広告制作会社(クリエイティブエージェンシー)です。

当時の広告業界の仕組みはマス媒体の力がとても大きく(今もあんまり変わってないかも知れませんが)、広告制作はその媒体に載せるためのおまけのようなポジションで捉えられていました。もちろん一般ユーザーは楽しんでそのCMだったりを見たりしていましたが、ビジネスとしての広告という枠組みは制作に関してはおまけのように扱われていたのが当時の状況でした。

海外では制作者に対するリスペクトが媒体の力と同様にあり、作品のクオリティに対する評価が高いということに対して、当時の日本ではあまりクリエイティブに対する評価が一般的にも高くないといった状況でした。(もしかしたらこのクリエイティブに対する考えはいまだに日本は少し遅れているように感じます。そういった環境が日本のビジネスを弱くしているのかも知れません。)

そういったおかしな構造を変えていきたいと思ったのが彼らで、先ほど述べたような間違った方向にいかないようにけん引していくタグボートをコンセプトにクリエイティブエージェンシーのTUGBOATを設立したというお話です。

2020年7月、享年63歳にて旅立った岡康道

私がどうしてTUGBOATのお話をしようと思ったのかは、実はTUGBOATのメンバーであり、代表でもある岡康道さんが今年の夏、2020年7月31日に亡くなってしまったからです。

TUGBOATといえば、2002年の大ヒットドラマ『恋のチカラ』のモデルの会社で、堤真一扮する貫井功太郎のモデルは岡康道さんだと言われています。当時広告業界に入りたての自分はこのドラマを未来にワクワクしながら見てたのを昨日のように思い出します。そんな岡さんが亡くなってしまって、なんだか心にポッカリ穴が空いたような気持ちになってしまいました。。。と同時に、彼らの挑戦は今の時代に、そして私の置かれている田舎にこそピッタリなんじゃないかとフツフツと心の奥底から炎があがってきて、このような記事を書こうという気持ちになった次第であります。笑

大きな力が通用しづらくなり、小さな力でもアイデアや正しさで挑戦できる時代に

岡さんは生前、「電通からは『お前達に引っぱってもらうつもりはない!』という声もあったが、『そんな小さなものを引っぱるつもりはないですよ』と答えた(笑)。日本の広告界を引っぱるために会社を辞めて、つくったのがTUGBOAT」ということをおっしゃっていました。いやはや、かっこいい。笑

と同時にこんなこともおっしゃっていました。

「残念だったのは『ファースト・ペンギン』になろうとしたのに、結局『奇妙なペンギン』で終わったってことだね。僕らの後が続かなかったからね。」

自分たちが飛び込んだら、後ろから続々飛び込んでくるだろうと思って初めてクリエイティブエージェンシーだったのですが、当時彼らの後を追うように始める人たちはほとんどなかったとのこと。当時はまだまだ広告業界も元気だったし、日本人の中のクリエイティブの価値もまだまだ高くなかった時代だったからしょうがないのかなぁといった感じです。

ただ、ここ最近の状況は大きく変わり、あの頃の日本の強さは影をひそめ、そしてまたコロナで大きな変革を求められています。こういった時代こそ、彼らのような考えが必要なんじゃないかと思っています。ちょっと遅くなりましたがファーストペンギンに続いて大きな海原に飛び込んでみようではありませんか!!

既存の構造にこだわらずに、アイデアや行動力で新しい道を開拓していこう!

デジタルシフトが進み、コロナによって人の往来が制限される、ニューノーマルな世界とはいったいどのような社会なのでしょうか?

それはある程度は予測することは可能なのかも知れませんが、これだ!という確固たる未来予測はとても難しいと思います。
そういった不確実な世の中では、何かに依存するということはとても危険なことだと思います。まだまだ政府や国に多くを期待する人が多いと思いますが、彼らにしても確固たる未来が見えているわけでもなく、やはり個人個人で柔軟にゆっくりしなやかに変化していくことが必要だと感じます。

逆を言えば、こういった時代だからこそ大企業ではなく個人や小さな企業のようなフットワークの軽いところにチャンスがあるのではないでしょうか?

アイデアや行動力があれば、今の時代は新しいことにチャレンジがしやすい環境になっています。パソコンやスマホでほとんどのことは検索できますし、アマゾンや楽天などでほとんどのものは手に入れることが可能です。今までやれなかったことが、アイデアと行動力で実行できる時代になっています。

コロナをピンチと捉えずにチャンスだと考えて、こういった時期にこそ次なる未来を見据えてチャレンジしてみましょう!

地方にはまだまだ発展の余地があり、チャレンジできる余白もいっぱいあります。

今コロナで地方移住や、新しいワークスタイルなどが注目されていますが、それは瞬発的な話としてではなく持続的なものとして捉えていった方がいいと思います。

先ほども言ったようにもはや都会、田舎に関係なくインフラが同じようにそろっているので、やれることはほとんどどこでも問題なくできると考えられます。
であるならば、これからの挑戦はコストパフォーマンスにすぐれている地方の方がいいのではないでしょうか?コロナやデジタルシフトで、人の流れがある程度まんべんなくなっていくことを予測すると、チャンスは余白のスペースにきっと隠されていると思います。

今、日本の構造は中央集権になっていますが、コロナショックをみて分かるように、地域のことはその地域で解決していくような、地方分権な(まー、こういった言い方もナンセンスだと思いますが・・・)社会に変化していくと思われます。仕事があるから都会に、人がたくさんいるから都会に、楽しいことがたくさんあるから都会に、、、などといった決定権が中央に集まっていた世の中は、これから急速に変化していくはずです。地方での持続可能な新しい暮らし方、働き方はすぐそこまできているはずです。

地方で素敵なプラットフォームをつくって、これからの日本のタグボートになりましょう!

地方には様々なチャンスが転がっているのではないでしょうか。まだ少し時間もかかるかと思いますが、大きな企業も少しづつその機能を地方に分散させていくと思われます。国の機能にしても、ある程度分散させるべきではないでしょうか。頭のいい人たちがたくさんいると思いますので、数年できっといろんな環境が変わり、地方に新しい可能性も見えてくるはずです。人や権力が分散してくれば、動きの遅い日本人でもシフトしてくるはずです。^^;

今、地方に暮らしている方や地方でこれから何かやりたいと思っている人たちは、なるべくそういった企業などの新しい取り組みをスタートしやすいような環境、プラットフォームづくりを始めておいた方がいいと思います。

ローカルの悪いところは、せまい視野で固まってしまって『井の中の蛙』になってしまうところ。今の若い人たちには昔のような凝り固まった考えはずいぶん減ったように感じられますので、柔軟な姿勢で新しい地域づくりを始めていきましょう!親世代の方々もなるべく彼らの挑戦を前向きに捉えて、応援して、一緒に新しい暮らしやすい、働きやすい地方をつくっていきましょう!

静岡県の島田市大代で始めた新しいプラットフォームづくり

せっかくなので自分たちの活動をここで少しだけ紹介させていただきます。

私たちはunautre(ユノートル)といブランドをつくって、地方に新しいプラットフォームをつくって、小さくても持続可能な社会づくりをスタートしています。
もともとデザインの仕事をやっていたので、デジタルにはある程度対応していたこともあって、こういったしごとノート。や、カフェライフマガジンといったウェブメディアを運営して、地方の暮らし方や働き方の発信を始めています。

しごとノート。
カフェライフマガジン

また、地元島田市大代でカフェを運営しています。こちらは週末だけの運営ですが、地元の人やちょっと遠くの人たちが楽しく交流できるような場所づくりを考えて始めました。3年目を迎えた今年、お茶工場のリノベーションを始めて、本格的なカフェづくり、スタジオづくりをスタートさせました。

5ヵ年計画で地方に新しいプラットフォームを、ということでunautre(ユノートル、造語ですがフランス語で新しい場所といった意味)を立ち上げました。3年目にしてようやく本格的なコミュニケーションのプラットフォームづくりをスタートしました。カフェはもちろんですが、思い出をカタチにするスタジオづくりや、記念のアイテムを扱うギフトショップなどから、田舎でできる新しい仕事をシェアするオフィスだったり、宿泊や遊びをキャンプやサウナなどと絡めて体験をエンターテイメントすることも考えています。今までにはなかった田舎の新しく楽しい暮らしや働き方を提案していきたいと思っています。

ユノートル

尊敬する岡康道さんに捧ぐ

ずっと背中を追い続けてきた尊敬する岡さんが亡くなってしまって、とても寂しい気持ちでいっぱいですが、岡さんが成し遂げたかった新しいクリエイティブのカタチをこの田舎から少しでも伝えていけたらと、気持ちを新たに頑張ろうとも思いました。

TUGBOATがファーストペンギンとなって飛び込んだ海は、ようやく他のペンギンたちが飛び込めるような世界へと変わり始めました。天国から岡さんに笑ってもらえるように、これから一生懸命地方を、クリエイティブを盛り上げていければと思います。最後に岡さんが作ったCMをいくつか紹介したいと思います。

岡さん、お疲れ様でした。これからは、ゆっくりとおやすみください。